成仏祈願(三)役者とは
- 真珠 法師山
- 2024年12月1日
- 読了時間: 3分
「しかし、努力はしてくれ。」
私が集まった面子陣にお願いするのは、いつもそれだけです。
拙くてもいい、出来なくてもいい、どうしても出来なかったら私が何とかするから、
そのための努力だけは死ぬ気でしてくれ。
それは、脚本を理解する努力、
演出家の意図を汲む努力、
自身の演技を見出す努力、
指示通りに動く努力、
表現をする努力、
とりわけお客さんに伝えるための努力、
全体の中の個となる努力、
個の集合体としての結果の舞台を創り上げる努力。
もともとの技量よりも
その努力がどれだけできるかが大きく役者としての価値を変えていく
今回の舞台で、それを目の当たりにしました。

え~、前置きが長くなりましたが
今回の、キャスト募集のお話。なんと問い合わせゼロ^^;
いよいよ詰んだかって感じだったのですが、かねてより出演意思をくださっていた
過去2回の舞台をごらんいただいたお客様がいらっしゃいました。
その方は典さん(花魁)にしてシンちゃん(お取り替え)の宮崎真一と
お取り替えヒロイン紀子おばちゃんの平滑真理子、二人のお友達。
この方がいらっしゃる日に配信しようね、なんて画策するほど、良く笑ってくださる方でした。
が、お芝居に関してはほぼほぼ経験ゼロです。「レベルの低い人がいるなら辞退する」と釘を刺された身としては
彼に関してはずいぶん迷いました。
しかしながら、前回したためたような「そもそも」を考えた挙句
キャストとしてお迎えすることにしたのです。
その為人を信じて。というか、賭けて^^;
稽古が始まり、彼の秀逸なところと、
「もしやこれはいかんともしがたいのでは」という部分が両極端に顕れ始めました。
秀逸なところは、とにかくしっかり台本を覚えてくること。
正直、誰よりも早かった。
そして稽古が始まる前に、自分なりの演技をしっかり作ってきてくれるところです。が、
これはのちに弊害も生みました。
でもそれをやってくるところがまず秀逸。
そしてその反面、やっぱり身体能力的には顕著に劣るわけですね^^;
まず、滑舌が悪くて何言ってるか結構わからない。声は大きいんですけどね。
それから動けない。これはそれなりにお歳を召しているからということにも起因しますが
なぜか不思議な動きになっちゃうんですよね~w
こうした部分はとにかく、基本をひたすら反復練習していくしかないわけですが、
社会人でもあり、そういう習慣もなく、まぁ、続かないです。
「いやぁ~、やってみたんですけどダメですね。」
やった、できなかった、ハイ終了。これで終わっちゃうんですね。
「できないからやるんでしょ!」とこっち側は思いますが、
一般の方ってそうなんですよ。できない、だからやらない。その意識を変えるには、
自分の立場を理解するしかないのですが、これに結構時間がかかります。
でもね、彼は決して「それでいい」と思ってるわけじゃないんですね。
本番に至り、それが本当によくわかったのですが、
まぁその前に。
「辞退する」とまで言わしめた問題の人物と明らかに違うところがありました。
ちなみにその人物は、なぜかご自分に大変自信のある方で^^;
先に上げた努力というものを、まったくしてくれませんでした。
でも今回のこの方は、とにかくひたすら努力をしてくれた。
稽古中はその努力の成果が発揮されることがあまりなく、つよ~いウチの女性陣からは強めにいろいろご指導いただいていたようですが(笑)。
「レストランのトイレの鏡で、ひたすら笑顔で台詞を練習していたら他のお客さんに変な目で見られました」なんて打ち上げで笑ってました。
そんな彼の本番の様子を見て、
ホウシヤマなにか、思い違い?
をしていたなと気づいたわけです。えれー長くなったので、
次回に持ち越します。長いなヲイ(;^ω^)
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