成仏祈願(四)役者とは…??
- 真珠 法師山
- 2024年12月1日
- 読了時間: 3分
「ものっそい努力型の不器用なドシロウト」
彼を一言であらわすならそうなりますね^^;
いや、気を悪くしないでくださいw本気で言ってます。

(三)に引き続き、彼のお話。
え~、とにかく不器用な方でしたw
先に言った、演技を作ってきてくれるからこその「弊害」。
稽古して、例えば逆方向へ舵を切ってほしかったり、そこに段取りを入れたり、
また「おっかねぇ」でわざとぶるぶる震えてみたりというステレオタイプな過剰演技?
あ~ウチではそういうのやってないんですぅ、っていう部分を修正するのに、
とにかく非常に苦労しました爆笑。
詰めをしたその時は良くなったりするんですけど、
あぁこれは彼に限った話ではないですが、やっているうちにまた元に戻っちゃう。
そして、自分のカラダをコントロールできないがゆえに、
普通に伸びをしてあくび、みたいな動作がどうしたってナチュラルにできない。
とかね。
役者としては、本番が近づくにつれてみんなが心配になるほど不器用な方でした。
でね、ワタシも「努力は認めるけどだがしかし。」「この人、ホントは全然私の言うこと聞こえてないんじゃね?」
なんて思って正直、半分あきらめたりなどしておったのですよ。
コレはもう、ホントに申し訳なかった。
なぜなら彼は、やればできるし話もちゃんと聞いてるし、
私の意向だって誰よりもちゃんと理解してくれていたんですから。
話は飛びますが終演後、
実はいただいたご感想で一番名前が多く上がったのが(目当ての役者以外で)
「金太」だったんです。
ちょいとご紹介しますと、
”特にきんさんのラップ好きやわぁ”
”また他の作品でも金太を見てみたいなと考えてしまいました。”
”金さんかわいかった”
”金さんが味わい深い”
”ジャイアン金太がうしろから出てきて独白するのおもろ”
などなど…。
そしてこうしたご感想をくださった方がほとんど
非舞台・演劇関係者なんですよね。
そもそも滑舌だの発声だのって、
役者としての技量を見せるためのものではなくて、芝居をお客さんによりわかりやすく伝えるための手段ですよね。
それも昔は、テレビとかなかったから対面の会話以外での人の話し声を
観る側がキャッチすることに慣れていなかったから、そう言う方々に
台詞というものを理解できるように聞かせるため
の、ものだったはずですよね。
じゃあ、結構テレビでもしゃべりの甘いタレントが増え始めた昨今なら
最低限台詞を理解できればそれでいいんじゃないのと。
彼を見てて思ったんですよ。
最後の彼の見せ場、金太の一人語りのシーンですね。
もうホントに最後までガッチガチで、何言ってるかわからないところもいっぱいあって
う~んもうこれはしゃーないわ^^;なんてあきらめの目でリハを見ていました。
ところが、どうですか。
本番、お客さんの目が全部、一点に集まります。
彼が一言発すると、お客さんが声をあげて笑います。
そのお客さんの反応を受けて、彼の中の「金太」が
調子に乗り始めるじゃありませんか!
そのとたん、滑舌もよくなります。表現も、これまでのようなたどたどしさが消えてなくなり、流暢に台詞が回り始め、
最初に私が指示したように、それぞれの言葉にそれぞれの想いを載せて
色どり豊かな表現がつぎつぎと繰り出される。
なんだよぉ!!
アンタできんじゃんかよぉ!!!
彼に必要だったのはアタリ強めの稽古じゃなくて、
感情の交換の場としての本番だった。
…のかぁ…。
カウンターの後ろで身を潜め、一人喜びに爆笑していました。
私は本当に、彼のこれからに期待しています。
お調子者の、もしかしたら天才役者
沼田晃です。

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